JEWISH STUDIES
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同志社大学神学部のユダヤ学についてのページです。



神学部の新研究分野:ユダヤ学

AdaTaggar-Cohenアダ タガー—コヘン(神学部教授)


 宗教とは、信仰者が執り行う儀式と、信仰のあり方を表すものです。 今日の私たちの世界では、必ずしも、特定宗教に属さなくても、異なる宗教について学ぶことができ、自由な立場から、異なる信仰やその発展を研究することも可能です。 政治イデオロギーと結びついた宗教が、人間の歴史において、多くの紛争や戦争を引き起こしてきました。 しかし、宗教は、平和と人類愛についても多くのことを語り、社会の幸福を求めるものです。

私自身の経験

 私は、明確なアイデンティティを持つユダヤ人家系の出身で、何百年間も、三つの一神教が共存してきたエルサレムという環境の中で生まれ、育ちました。 子供の頃から、イスラームとアラビヤ語について学び、エレサレムで目にしたキリスト教を知るようになりました。 そのような異なる宗教が、私にとっては、自然な生き方に思えていたのです。 周りの人たちの暮らし方に同質のものは何もなく、様々な言語が話され、信じている宗教も、属しているユダヤ教の宗派も様々でした。 エルサレムでは、宗教グループとその傾向がまざり合い、ユダヤ・アイデンティティが混在していました。 近くに住む友人の中には、ユダヤ教的習慣を遵守するとても宗教的なユダヤ人もいれば、全く守らない世俗的なユダヤ人もいました。 
やがて、私が気づいたことは、今日のユダヤ教が見せている多様性です。 例えば、日本の方々がユダヤ教を代表するものとして見たり、読んだりしている、黒いコートを着て、長い髭をはやし、黒い帽子を被っている正統派ユダヤ教徒から、外見からはほとんど見分けのつかない世俗化傾向にある現代ユダヤ人がいます。 実際の正統派ユダヤ教徒は、世界中でおよそ10パーセントにすぎず、今日のユダヤ教は、信条だけでなく、外見や行動も様々です。 けれども、世界中の全てのユダヤ人を繋ぐものがひとつあります。 それは、ユダヤ人家系の子孫であるということです。 ユダヤ人であるかどうかは、正統派の考え方からすれば、ユダヤ人の母親から生まれたということでしたが、よりリベラルなユダヤ人は、父親だけ、あるいは、祖父母だけがユダヤ人であっても、ユダヤ人の家庭に生まれた者をユダヤ人として受け入れています。

ユダヤ学カリキュラムの考案について

  私が同志社大学神学部で新しいカリキュラムを作るために、2004年に招かれた当時も、日本では、ほとんどユダヤ・コミュニティがなく、学生たちに、どのようにして「ジュダイズム」(宗教としてのユダヤ教だけでなく、ユダヤ文化も含む)を包括的に紹介すべきか考えなければなりませんでした。 その点で、特に重要なことは、現代のコミュニティの生活形態としての信仰と実践が、古代の伝統に基づいたものであるということでした。
 まず、ユダヤ教学習には、BCE1000年頃に、歴史の舞台に現れ、現在まで宗教的実践によって、民族アイデンティティを維持してきた民族の長い歴史があり、その中には、この200年間、宗教的実践や信仰だけには基づかず発展した文化も含まれています。 しかし、年月を経ても、世界中の国に広がったユダヤ人は、文化的、宗教的絆を保ち続けることができました。 今、お話しているユダヤ人とは、ひとつの総体としてとらえる一方で、ヨーロッパ、中近東、北アフリカ、そして、17世紀からのアメリカや、更にずっと遠くの異なるコミュニティの中で生きてきた人々のことです。 そして、それらのコミュニティは、それぞれ、自分たちの習慣を持ち、特に言語が異なっていました。 また、現代のジュダイズムは、古代のものに基づいているにもかかわらず、聖書時代初期のジュダイズムと、現代のものとは全く違います。 このような歴史上の長い時代にわたるジュダイズムを、どのように教えることができるのでしょうか?  私は、学生たちのために生き生きとしたジュダイズムを学ぶことができるカリキュラムを作り、この宗教と文化を明確に描き、示したいと思いました。
 教育課程の設定において、考慮すべきことは、学部の4年間に、様々な時代に及ぶ授業を、ある時期にポイントを置きながら、展開しなければならないことです。 研究のもうひとつの重要な要素は、言語です。 ユダヤ学における不可欠な言語であるヘブライ語は、その長い歴史の中で発展してきました。 研究科では、ユダヤ思想と現代ジュダイズムとの更に専門的な関連性を提供する必要があり、それによって現代ジュダイズム及び、イスラエルとシオニズムの研究において、新しい政治形態の研究も進展できます。
 このカリキュラムの科目指導は、宗教教育の一環として取り組まれ、ジュダイズムの教育が、歴史学、社会学、言語学等の多様な方法によって可能とされることにより、神学部の教育理念にもかなったものとなっています。 ひとつの宗教的観点を選ぶことで、ユダヤ・コミュニティ内の様々な時代変化や発展をもたらしてきた神学的概念と信仰に焦点を合わせることもできます。 更に、我が神学部のユダヤ学教育のもうひとつの大切な視点は、過去と現代におけるユダヤ教とキリスト教の相互関係の研究を取り入れていることです。
 ジュダイズム教育として設立した最初の授業は、現代ヘブライ語と、ユダヤの歴史と文化の三つの一般科目でした。 この数年間で、ユダヤの記録文書における第二言語であるアラム語研究や、ユダヤ思想を加え、カリキュラム内容を広げてきました。 現代ヘブライ語コースは、三段階の言語学習とヘブライ文学、そして、研究科生のためのヘブライ文化演習という5コースを展開しています。 聖書ヘブライ語は、学部のカリキュラムに含まれており、学生たちは、旧約聖書から現代までのヘブライ語を学ぶことができます。


ユダヤ文化の担い手としての言語

 ヘブライ語は、ユダヤ文化の重要な伝達者です。 したがって、現代ヘブライ語の授業は、今日のイスラエルの説明だけでなく、現代ジュダイズムを紹介するための土台となります。 基礎的な言語教育の中で、その言葉に表れてくる文化的側面や宗教的信条にも、関心を向けるようにしています。 これらのコースでの教育法は、写真やビデオ、音楽を取り入れ、学生たちに最初の授業から言葉を話したくなるように促しています。 また、学部の支援と、同志社大学センターの二年間の学部振興予算のおかげで、学生たちの学習向上のためのウェブサイトを立ち上げ、三段階の年度ごとの(ヘブライ語と日本語)教科書を執筆しました。 第1巻と第2巻はすでに、使用されており、今、第3巻に取りかかっています。 教材は全て、学生向けウェブサイトからダウンロードをして利用できます。 現代ヘブライ語コースを通して、学生たちがエルサレムのヘブライ大学や、ハイファ大学の交換留学制度を利用することによって、イスラエルで研究することも可能です。
 私は、神学部教育課程にユダヤ学が加えられたことによって、一神教の複雑さに対して、学生たちの将来的視野を広げ、世界の宗教に関するさらに国際的な観点を与えることになることを確信しています。